2ntブログ
スポンサー広告 > 「月に寄りそう乙女の作法」レビュー
エロゲレビュー > 「月に寄りそう乙女の作法」レビュー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「月に寄りそう乙女の作法」レビュー

【第二十六作目 月に寄りそう乙女の作法】
月に寄りそう乙女の作法


【予備知識】
友人K情報:主人公がヒロイン
パッケージ情報:原画家の違いがハッキリ分かる絵柄ですね。

【作品紹介】
ブランド:Navel
発売日:2012/10/26
ジャンル:恋愛ADV
シナリオ:真紀士、王雀孫、東ノ助、森林彬
原画:鈴平ひろ、西又葵、羽純りお
楽曲製作:Arte Refact(BGM)、アッチョリケ(歌曲)
ボーカル:美郷あき(OP曲) , 橋本みゆき(挿入歌 ) , 佐咲紗花(ED曲)
価格:¥8,800 (税込¥9,504)

【ヒゲトニオの所感的な作品解説】
「Navel」の作品は初めてのプレイとなりますが、過去に「SHUFFLE!」と「俺たちに翼はない」という
超大ヒット作品を生み出した、実力派のブランドで、

時間を掛ければトップクラスのシナリオと一目置かれている「王雀孫」氏と
お米界の救世主「西又葵」氏を擁することでも有名なブランドです。

個人的にはエロゲを超越した名盤を生み出した「Arte Refact」の楽曲が聴きたくて
今回のプレイに至りました。


【ストーリー】
主人公・大蔵遊星は、日本の財界を代表する “華麗なる一族” 大蔵家の末端に、望まれぬ子として生を受けた。
優秀な親族や家庭教師のもとで厳しく育てられた遊星は、多芸に秀でた万能家であったが、
言うなれば籠の中の鳥であり、およそ人並みの夢や希望などとは無縁の生涯だった。

そんな遊星が、初めて一族の監視下を離れ、ひとりで外の世界へ出る機会を得た。
名もなき庶民の娘・小倉朝日となって素性を伏せ、
上流階級の子女が集う服飾専修機関 『フィリア女学院』 へ潜入することになったのだ。

その一環として遊星 (=朝日) は、学院一のスーパー同級生・桜小路ルナに仕えるメイドとして、
彼女の住まう 『桜屋敷』 で働くことに。
そしてそこには、ルナと縁のある学院生らが同居するという。
一人はスイスから来た誇り高き留学生・ユルシュール。
一人は旧華族の流れを汲む家柄の大和撫子・花之宮瑞穂。
そしてもう一人が、少年時代の主人公に恋していた庶民派の社長令嬢・柳ヶ瀬湊。

いずれも個性的なお嬢様方に加えて、
それぞれに付き従う超個性的な従者たちが遊星 (=朝日) の生活を引っかきまわす。
果たして遊星は、素性 (おもに性別) を偽ったまま、屋敷と学園の二重生活を無事に過ごすことが出来るのか?

【ヒゲトニオの所感的なストーリー解説】
説明を噛み砕いて解釈すると、
大富豪の側室の子である、厳しい教育を受けた主人公はハイスペック人間で、
女装して服飾の学校に入学すると・・・これが流行りの男の娘でしょうか?

前情報から登場人物が、やたらとハイスペックでお金持ちな気もしますが
果たして庶民に理解できる内容に仕上がっているのか注目しましょう。


7大要素解説


【システム】B
環境設定はシンプルですが、問題なく必要な機能が揃っており
項目の重厚さやら、クリック後の反応やら、
デザインはレベルの高い作品という雰囲気が出ています。

そしてクリア後にEDが鑑賞できるというのは珍しくも○

また、画面が移動するイベントCGは鑑賞モードでも、しっかりスライドできる点と
差分数も明記されている細かい配慮は、他ゲーでも意外と少ないので良く作られています。


【グラフィック】B
イベントCGは合計101枚と中々の枚数が用意されており、
名シーンも沢山あったので素晴らしい内容でした。

作画崩壊もないし、各ヒロインに20枚以上が用意されているので
概ね問題ない、高品質なクオリティーだと思います。

意外と主人公のイベントCGも多いのですが、
本作は主人公がヒロインとまで評される作品なので
おそらく他のプレイヤーは、もっと見たかったという思いがあったかと思います。


【サウンド】B
今回の大注目な要素でしたが、予想を裏切り雰囲気重視の大人しい曲調が多かったです。
というのも、作品自体がノーブルで格調高い高貴な作風なので、
戦闘するような激しいシーンやら、血が飛び出るような過激なシーンが少ないので
これは致し方ないのですが・・・うーん、残念

全30曲のBGMは、お金持ちで高貴な世界観と、服飾というオシャレな作品の雰囲気が十分に出ており、
やはり「Arte Refact」の楽曲は非常にレベルが高いことが分かります。

普段なら「令嬢疾駆」が次点で、必殺の一曲が無いよなぁ・・・で終わるところですが
「放課後キャットウォーク」とか「あまりに乙女的なサロン」とか非常に良いです。
そしてラストの名シーンで流れる"あの曲"は言うまでもなく最高でした。

しかしながら作品をプレイした補正を抜いて、楽曲単品で聴いてみると
やはり物足りない印象が拭えません。

最後に、会話中のSEが非常に多く
これが意外と心地良く、目だけでなく耳も使わせてバランスを取る手法はテキストも劇的に印象が変わるので
プレイしていて楽しいです。


【キャラクター】A
キャラクターは中々に個性的で、シナリオライターもキャラクターを魅力的に描けており
特に、どのキャラクターも一本の芯があり、プレイすればするほどドンドン魅力的になっていく過程は凄いです。

特に実力とプライドの高い"あの二人"のキャラクターは強すぎる個性を持った難しいキャラクター性を一貫したスタイルで
ブレることなく、一人の人物として作り上げたテキストとセリフ回しは凄まじく、

主人公がヒロインという前情報で、「こいつ何いってんだ?」と思いましたが
誰よりも無垢で一途で従順な主人公が一番カワイイ性格をしているのは間違いなく
悔しいことに、プレイしていると確かに納得できます


【シナリオ】B'
上流階級の設定であろうと、分かりやすく表現されており
なんといっても、あざとく見せずにキャラクターを魅力的に見せるシナリオは圧巻で
ルックスとか仕草ではなく、人間性の魅力に溢れるストーリーは感動的です。

「鈴平ひろ」製のヒロインは、個別ストーリーが抜群に素晴らしく
「西又葵」製のヒロインは、個別ストーリーが割りとどうでも良いという住み分けはどうかと思いますが

一人の持ち込んだ企画に、各シナリオライターが意見を出し合い
設定やら脚色を加えた協調性だからこその作品です。

エロゲのシナリオは、個別ルートも担当が明確になっている個人戦が多いのですが
この作品のシナリオライターは一味違って、団体戦で臨むという一体感は胸が熱くなります。

特に「東ノ助」氏の描く個別シナリオは、キャラクターの内面を輝かせる素晴らしい内容
この人の書くシナリオは他のも読んでみたいです。


【Hシーン】C
13回と標準的な回数のHシーンですが、主人公は珍しくベッドヤクザではなく
知識もないので、こういうところでも結構ストーリーに忠実で中々に興味深いです。

企画段階では性欲旺盛だった主人公については、「王雀孫」氏が手を加えたらしく
結果的にエロゲとしては物珍しいHシーンだったので、個人的には新鮮でした。

後は主人公がヒロインから割りと悲惨な目に遭うHシーンに至るまでの選択肢は
GBの「モグラーニャ」の回復してくれるヒントじいさまに話かけまくるような展開で面白いです。

ダークソウル2のアン・ディールの館で、
公式からのメッセージをガン無視してレバーを引いたプレイヤーなら、なんとなくお分かりいただけると思います。

個人的には寝巻きでストッキングなんて穿くか?という疑問もありましたが
エロゲの世界なら当たり前なのでしょうか。


【テキスト】B
気になった文章は全部で10回ありました。
これだけの作品でも誤字やら脱字やら誤変換があるのかと思うと悲しくなります。

世界観は現実的ながら、お金持ちの高貴な世界ということでしたが
細かい備品でも具体的な金額が表示されることも多く、
こういった内容はプレイヤーの金銭感覚で意見が分かれるのですが
中々に潔いです。

また、パロディネタは余り使わず、
部族ネタやら、ゴーショーグンネタという少ないながら渋いチョイスです。

後は高貴な世界ということで美術ネタやら、服飾学校ということでアパレルのネタもありますが
分からなくても何となく雰囲気で理解できます。


【プレイ中の5段階評価】
■■■□□ システム:3
■■■■□ グラフィック:4
■■■■□ サウンド:4
■■■■□ キャラクター:4
■■■□□ シナリオ:3

【クリア後の5段階評価】
■■■■□ システム:4
■■■■□ グラフィック:4
■■■■□ サウンド:4
■■■■■ キャラクター:5
■■■■□ シナリオ:4


総評価B
得点数:85点


【プレイ感想】
この作品をプレイして何も感じない人が存在するのでしょうか。
そんな奴ぁ人間じゃねぇ!
言い過ぎかもしれませんが、それほどにプレイして良かったです。

なぜ「忠犬ハチ公」が人々に受け入れられ、渋谷駅前に銅像まで建てられて、ハリウッドでも映画化したのか。
それは種族を超えた信頼関係と、固い絆で結ばれた絶対的な主従関係が人々に感銘を与えたことに起因しており
本作も、同じことが言えると思います。

この作品の魅力は、
性別を超えた信頼関係と、固い絆で結ばれた絶対的な主従関係がプレイヤーに感動を与えたからこそ、
多くのプレイヤーから賞賛され、萌えゲーアワード2013大賞を受賞するまでに至ったのだと考えられます。

本作の高評価は納得のクオリティーで、色々な作品をレビューしてきたからこそ
他の作品よりクオリティーが高いことが、よく分かる仕上がりです。

こんな作品が今後も生まれるなら、エロゲの未来は暗くもないのかなと希望が見えてくる作品でした。


【OPムービー】



【あとがき】
ヒゲトニオがエロゲに求めている要素として
作品の全体的なセンス>サウンド>>>シナリオ>プレイ環境>グラフィック>etcですが

本作はプレイしていて
シナリオ>サウンド>etcになるほどの、要求事項さえも変わる面白さでした。


【個別シナリオの満足度】
A桜小路 ルナ:素晴らしき主従関係!
C'花之宮 瑞穂:素晴らしき流れを汲んでるけど、割りとどうでも良い。
C柳ヶ瀬 湊:息抜き。
A'ユルシュール=フルール=ジャンメール:圧倒的に素晴らしきストックホルム症候群!
12:

レビューお疲れさまでした。
個人的にはこの作品の、パロディネタを殆ど用いず、キャラクターの個性のみを用いた掛け合いだけで面白さを出しているという部分が好きでした。
キャラクターが会話してるだけで楽しいって雰囲気が出せるのはすごいと思います。
秋の新作も楽しみです。

2014.08.11 02:59 妖精ちゃん #- URL[EDIT]
13:Re: タイトルなし

> 妖精ちゃん 様

 労いのお言葉を賜り、痛み入ります。

個人的にパロディネタは勢いやら、元ネタを理解しているかで人を選ぶので
単純に会話とか独白で面白いと思わせるのは、純粋に面白くて私も好きです。

本作は勢いのある動きもテキストで表現することが多く、読み手の想像力も必要ですが
落ち着いた大人のユーモアがありながら、たまに若さ溢れる勢いのユーモアも併せ持った作品という印象でした。

続編が発売されるのも納得の作品というのが素直な感想です。

2014.08.12 00:10 ヒゲトニオ #- URL[EDIT]

管理者にだけ表示を許可する